2017年8月26日、アメーバ経営学術研究会は、神戸大学大学院経営学研究科、NPO法人現代経営学研究所(RIAM)との共催、ならびに京セラコミュニケーションシステム株式会社の協賛で、第6回目となるシンポジウムを開催しました。今回は、2017年3月にアメーバ経営学術研究会・編にて発刊した書籍『アメーバ経営の進化:理論と実践』のタイトルをシンポジウムのテーマとして、同書の執筆陣が4講演ならびにパネルディスカッションを行いました。
第1講演では、立正大学 経営学部 講師 近藤 大輔が「サービスの品質を高めるアメーバ経営―日本航空株式会社の客室サービスを変えたJALフィロソフィ」と題して報告を行いました。日本航空の顧客満足度が向上していることを挙げ、2010年以降に同社が導入したアメーバ経営とフィロソフィの影響について言及しました。
第2講演では、長崎大学 経済学部 准教授 庵谷 治男が「部門別採算制度が経営理念の発現に及ぼす影響―ホテルにおけるアメーバ経営の事例」と題し、アメーバ経営とフィロソフィを導入しているホテルを事例に、両者の関係性を解説しました。
第3講演では、一橋大学大学院 商学研究科 教授 挽 文子が「医療組織へのアメーバ経営の導入」と題し、サービス業の特性を紹介し、その後に医療組織におけるアメーバ経営のルール構築、運用上の特徴を述べました。
第4講演では、京セラコミュニケーションシステム株式会社 コンサルティング事業本部 本部長でアメーバ経営学術研究会のメンバーでもある松井 達朗が「協力対価方式の発案―医療・介護業界・日本航空への導入」と題し報告しました。実務家の立場から、アメーバ経営の仕組みが多様化していることを説明し、その背景にある経営思想を紹介しました。
パネルディスカッションは、第1講演者である近藤と書籍『アメーバ経営の進化』で共同執筆を行った神戸大学大学院 経営学研究科 教授の三矢 裕をコーディネータに、パネリストとして挽 文子、松井 達朗、そして第2講演者の庵谷と共同執筆を行った京都大学大学院 経済学研究科 教授 澤邉 紀生の3名が登壇しました。
先の4講演に対する意見交換、質疑応答を通じて報告内容を掘り下げ、その上で、アメーバ経営の導入が成功するケースと失敗するケースの特徴について考察がなされました。
後半では、聴講者からの質疑応答を受け付け、会場が一体となったやりとりがなされました。
アメーバ経営の適用業種・業態がサービス業へと広がっていることを「進化」ととらえた議論を通じ、今後のアメーバ経営の可能性が共有されたパネルディスカッションとなりました。